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ドラピエ
Drappier

有機栽培ピノ・ノワールが主張する独特なアロマ
フランスの自然派と呼ばれる造り手達との食事では必ずシャンパーニ ュ・ドラピエで始まる。パリで最も人気のワインショップ、カーヴ・オジェの 薦めるシャンパーニュもドラピエ。神に祝福された声を持つと言われ世 界三大テノールの一人ルチアーノ・パヴァロッティは“喉に優しい”とドラ ピエのシャンパーニュを歌う前に飲んでいたという。無農薬、有機栽培 が産む健全な葡萄を収穫することによって純粋な果実の厚みを。極 限まで減らしたSO2は果実そのものをしっかりと感じさせる芳香をワイン に与えている。所有する53ha の畑では1989年から一切の農薬を使 用しない有機栽培を実践。合成肥料から堆肥への切り替え、農薬の 不使用によって病気、害虫被害 が増え30%も収量は落ち込ん だと言う。ウルヴィルはシャンパ ーニュの南端に位置し、およそ1 億4千年前のジュラ紀からの石 灰石土壌が広がり、ブルゴーニ ュから伝来したピノ・ノワールに最 適な土壌。よってスタンダードラ インから全てのキュヴェでピノ・ノ ワールが機軸となっている。また、 ドラピエと言えばSO2に対する 姿勢。酸化防止の役割以外に も安定した発酵を促すなどの効 果も得られるわけだが、『SO2の 多大な摂取は人体にとって有害 だ。そして、なにより果実本来の 香りを台無しにしてしまう。』との 考え方で、その添加量を通常のシャンパーニュの造り手の1/3程度ま で減らしている。ドラピエでは数十年かけて使用量を10%ずつ減らし、 試行錯誤の末、通常100mg/㍑程度使われるところ35mg/㍑までに 抑えることに成功した。収穫された葡萄は小分けにし、できる限り短時 間でタンクに運ぶこと。18℃を基本とした完全な温度管理の下、自然 酵母を使ってゆっくりと発酵。酸素を遮断するため圧搾機を発酵層の 真上に設置したグラヴィティシステムの採用といった拘りによってSO2 無しでも果汁はバクテリアに侵されること無くワインへと変化していくこととなる。2007年にはSO2完全無添加のブリュット・ナチュール・サン・ スフレ・ノン・ドサージュの生産に成功し、大きな話題を呼んだ。SO2の 添加が無くとも、果汁からワインへ変化していく過程である程度の酸素 との触れ合いを良しとしている。ワインとして完成されるまでにゆるやか に(良い意味で)酸化していくことで抜栓後、時間と共に力強く開いてい くようになるのだと言う。現在作付面積およそ100ha(相続の過程で現 在法的にドラピエ家所有畑は53ha)。シャルドネが高い酸度とミネラル に由来する硬質感をワインに与えるのに対して、ウルヴィルのピノ・ノワ ールは、よりワインに近く、完熟した果実のふくよかさ、骨格、時間経過 と共に増していく深みを与えてくれる。その品質はロバート・パーカーJr. の「バイヤーズ・ガイド」で★★★★(Excellent)と評され、フランス国内、 特にレストラン関係者からも絶大な人気を誇る。最後にドラピエを語る 上で忘れてはいけないのがドサージュの少なさ。いわゆる“門出のリキ ュール”はシャンパーニュの味わいに大きな影響を与える各メゾンが最 も気を使う工程の一つである。ドラピエはどの銘柄においてもドサージュ の量は非常に少 ない。たとえばブリ ュットのでは 15g/ ㍑まで許されてい るがカルト・ドー ル・ブリュットのド サージュは10g/ ㍑。これは葡萄の 品質に対する絶 対の自信なのだと 言う。しかも使わ れるのは25年間樽熟成された角が取れたリキュール(使用は一部キ ュヴェを除く)。樽熟成することで蔗糖の甘さから全ての要素が馴染ん だ自然で柔らかな甘味に変化していき、黒葡萄であるピノ・ノワールに 良く馴染むのだという。初代が葡萄栽培を始めてから既に200年以上 の時が経った。今では世界中で大きな市場を持っているシャンパーニ ュだが、これだけ実直に葡萄本来の旨味を感じさせてくれるメゾンは他 に存在しない。
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