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ボデガス・オリヴァーレス
Bodegas Olivares

フミージャの西北、トバッラ村に位置するボデガス・オリバーレスは、単一畑「フィンカ・デ・サンタ・アナ」を有する。当ワイナリーのオウナーであるパコ・セルバは、栽培と醸造を兼ねるエノロジストである。オリバーレス家は、アペラシオンの北部「オヤ・デ・サンタ・アナ」地域に、65ヘクタール超の接木をしない古いブドウ樹を有する。この地は、海抜825メートルの高地にあるフミージャでもっとも冷涼な地域で、土壌は砂質と石灰質に富むため、フィロクセラ耐性があるだけでなく、アロマ豊かなワインができる。
1998年以前、セルバ家はバルクワイン・ビジネスをしていたが、自家消費用にデザートワイン(ドゥルセ)をつくっていた。ブドウの実を木に付けたまま糖度を高めさせる過程でしばしば貴腐が生じることがあった。1998年に当ワイナリーを訪れたスペインのトップ・ソムリエが偶然このワインを味わって狂喜し、説得の果てにこのワインが市場に出て、一躍トップ格のレストランと小売店を飾ることになった。が、ドゥルセの成功に安住することなきパコは、続いて赤のテーブルワイン「アルトス・デ・オヤ」(ステンレス・タンク発酵後、樽熟成)とカリテ・プリのベーシックワイン「パナロス」をリリース。(モナストレルについては、ピエ・フランコ(接木していない木)。)
栽培品種:モナストレル、グルナッシュ
自社畑面積:275ha
平均生産量:800,000本/年

スペインは、17の自治州から構成されるが、地中海に面するスペイン東部沿岸の中央域を占めるレバンテ地方は、2つの自治州―北のバレンシア州と南のムルシア州(=県)―から成る。単独州ムルシア(州都ムルシア)は、バレンシア州アリカンテ県(県都アリカンテ)に接する肥沃な農村地帯であって、ワインよりもオレンジの輸出で名高い。さて、肝心のフミージャは、ムルシアに属する3つのDOゾーンのうち、ブラスとイェクラとともに独自のDOゾーンを(北西のカスティージャ=ラ・マンチャ州を一部含みながら)構成している。その位置は、ムルシア市の北、アリカンテ市の西というやや内陸部にあるため、基本的には大陸性の気候でありながら、地中海性の恩恵をもこうむる。1970年代まで、乾燥した高地という気象条件に恵まれたフミージャは、とりわけバレンシア市向け量産ワインの大供給地であったが、実は砂地と高温のためにフィロクセラの侵犯を免れていた。
ところが、1988/89年に時期遅れのフィロクセラがついに襲来し、生産量は激減しただけでなく、植え替えを余儀なくされた。これを契機に、大生産者が中心となって、酸を留めるために早摘みしたブドウで、近代的な製法を採用し、クオリティワイン造りを目指した。当ゾーンを代表するのが、可能性にとんだモナストレル品種(=ムルヴェードル)で造られる、フルーティな赤ワインであり、夏季における一日間の温度差(昼間の高温と夜間の冷涼)が完璧なブドウの生育条件となり、良好な酸が維持できるのである。
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