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ラ・ストッパ
La Stoppa

長期マセラシオン・長期熟成 当主エレナ、醸造責任者ジュリオ共にナチュラリスト。福岡正信氏の考え方に賛同し、ビオディナミではなく自然農法に拘っている。熟成期間はバローロより長い。

最も優れた栽培家に選出
2010年「ガンベロ・ロッソ」で最も優れた栽培家に選 出された「ラ・ストッパ」当主「エレナ・パンタレオーニ」。 1991年に母親の下、カンティーナで働き始め、1997年に両親より「ラ・ストッパ」を引き継いだ。 『どんなワインかを決めるのは人間ではない。土地の個性を最大限に反映させた結果がラ・ストッパのワ インになる。それが個性』 歴史は古く、トッレビア渓谷に 1 世紀以上続く造り手。 58haの所有地の内28haがオーク、栗、アカシアの森。20haが葡萄畑になっている。 『前オーナー、ジャンカルロ・アジェーノがフランス品 種を植えてボルドー、ボルドー・ビアンコなどのワイン を造り始めたのがラ・ストッパの初まり』 現在では国際品種は引き抜き、地品種のみとなっている。前オーナー「アジェーノ」の挑戦的な仕事に敬意を表し、長期マセラシオンの白ワインは「アジェーノ」と名付けられた。 現在では「エレナ」と共に「デナーヴォロ」の当主でもある「ジュリオ・アルマーニ」が栽培から醸造まで担当 している。 『ジュリオは1980年から働いている。当初は醸造責任者だったが、今では栽培も含めてラ・ストッパの全 てを知っている』 「エレナ」はこの地域のワインの品質の高さを理解してもらうことに尽力していて、醸造所の無い若手に場所を提供したりしている。 「デナーヴォロ」や「アルベルト・アングイッソラ」も以前は彼女のカンティーナで醸造、熟成されていた。

醸造責任者ジュリオ・アルマーニ
1982年から除草剤の使用を中止。畑は木製の支柱に変更され雑草が生い茂る。ルコラ、豆、タンポポ が一面に咲いて一面黄色と緑。 『昔は急斜面の畑下部では土が流されることがあったが、1978年以降、不耕起が採用されたことで雑草の根が土を固定してくれるようになった』土壌が活性化し、耕さなくても土壌中の空気や窒素が足りなくなることはなくなった。畑には30種類以上の植物が自生している。 『森の中に畑があることで100種類以上の植物や昆虫、動物の影響を受ける。ここは昔と変わらない自然と共存する畑が残っている』 「ジュリオ」も「エレナ」も福岡正信氏の考え方を参考に している。ビオディナミの必要性は感じていないが土壌の活性化など考え方はとても近い。 『粘土質土壌は耕すべきと言われるが必要ないと思う。空気の粒子は土の粒子よりも細かくて人間がひっくり返さなくても浸透する』 ピアツェンツァは昔から裕福な地域ではなかった。1970年代の農業革命の時期、農薬が大量に使わ れたのは裕福な地域で、ピアツェンツァの農民は貧しく農薬など使えなかった。 『1つの植物だけに影響されると土壌が不健全になってしまう。色々な植物に影響を受けることで土壌は活性化する』

納得いくまで熟成させる
収穫はできる限り待つ必要がある。種子まで熟していること、果皮が成熟していることが重要。収穫した葡萄は 100%除梗され、発酵槽へ投入。 発酵時の温度管理は行わない。マセラシオンはヴィンテージにもよるが「マッキオーナ」で30日。「トレッビオーロ・ロッソ」でも20日と非常に長い。 『その年の発酵時期の気温もヴィンテージの個性の1つと考える。どの自然酵母が精力的に働くかはその年によって変わる』 暑い地域で、しかも完熟させた葡萄を使って自然発酵させている。更に長いマセラシオン。ワインは強く、 高いポテンシャルを持つ。 『熟成することでワインが育つ。大樽はポテンシャルの高い葡萄でないと耐えられない。酸素を適度に与えて育てる。そして瓶熟期間中に各要素が溶け込みバランスが取れてくる』 彼等の地下セラーでは15万本以上のワインが熟成されている。「エレナ」がこの地域の本当の品質の高さを理解してもらう為に行っている。

皆大好きエレナとジュスト
2010年のガンベロ・ロッソで その年の最高の栽培家に選出された「エレナ」。 そして「ラ・ストッパ」で30年以上働いている 醸造責任者が「ジュリオ」。 沢山の醸造家が彼を慕っている。 ピノ・ネロで結果を出した「アルベルト・アングイッソラ」。 ブルネッロの美人姉妹「フォンテレンツァ」。 バルバレスコの「ルーカ・ロアーニャ」。 コッリオの人気者「ダリオ・プリンチッチ」。 フランスの造り手にも彼等のファンは多い。

エミリア・ロマーニャを代表するカンティーナ
1973年にエレナ家が買い取ってから「ラ・ストッパ」は 一気に品質を向上させていく。 1991年、エレナもカンティーナで仕事を始め、 1997年、母親から引き継ぎ、当主となった。 今や、イタリア国内でも人気のカンティーナに成長し、 カンティーナ含め、58ha山1つが彼女の所有地。 森、川、谷、牛の放牧地まで彼女の敷地内に存在する。 その内20haが葡萄畑。 ピアツェンツァは歴史的に見ると貧困の地域。 産業が無く、農業中心の非常に貧しい地域であった。 70年代、他の地域で農業の効率化が進む。 政府によって農薬が推奨され、各地で大型農業が始まった。 しかし、この地域は貧しかったので大型の農業は根付かず、 農薬さえも使用されることが少なかった。 今ではイタリアで最も有機栽培の造り手が多い地域になっている。

持続可能で実践的な有機栽培
敷地内には小川が流れ、 飛び地になっている各畑は異なるミクロクリマを持っている。 異なる個性の畑をブレンドすることで全体のバランスが取れるし、複雑味が出る。 1982年からは除草剤の使用を中止した。 畑は木製の杭が打たれ雑草が生い茂っている。 畑はルコラ、空豆、タンポポが一面に咲き一面黄色と緑。 葡萄樹は活き活きとして活力がみなぎっている。 ところどころに存在する急斜面の畑の下部では土が流され葡萄樹ごとさらわれる事があったが、 1978年無耕起が採用されてから雑草の根が土を固定してくれるようになり、 土壌の流出は無くなった。 葡萄樹を支える支柱や整枝をする紐も天然素材。 森の樹を切り出した支柱や植物のツルを使う。

マッキオーナとバルベーラ
「ラ・ストッパ」はこの地域で最も有名でこの地域を代表する造り手に成長した。 古くから畑を所有しているので樹齢が高いのも特徴。 50年を超える樹も多くなっていて死んでしまった樹も多い。 古い樹の間に苗木を植樹しても古い樹が強すぎてうまく育たないので古い区画は樹が少ない。 必然的に収量は非常に少なくなる。 フラッグシップの「マッキオーナ」「バルベーラ」にはこの古い樹の葡萄が使われる。 『マッキオーナは濃厚だが毎日でも飲める。 何本でも飲める。アルコールが高くても飲み続けられるのはバランスが取れているから』

長期マセラシオンの中でも異質『アジェーノ』
2006年は300日以上のマセラシオン。 エリオ・アルターレのバローロはマセラシオン4日。 伝統派バローロのカヴァロットは30~40日程度。 長いマセラシオンで有名なロアーニャでさえ100日のマセラシオン。 ジュリオは葡萄の果皮の色に関わらず、 果皮と果皮周辺に含まれる色々な要素が重要と考えている。 健全な葡萄であれば長いマセラシオンでもバクテリアに侵されることはない。 長期マセラシオンの白ワインは多いが、アジェーノは特別なワイン。 グラヴネルやラディコン、ダリオ・プリンチッチは 開放発酵槽で発酵、マセラシオン。その後は樽で熟成させる。 アジェーノはステンレスタンクで発酵、マセラシオン、熟成。 嫌気的な環境なので酸化のニュアンスが出ない。 樽熟成よりもワインは垂直性がありシリアスさが出てくる。 アプリコット、オレンジピール、ウーロン茶、紅茶、アニス。 コンフィチュールのようなピュアな香が支配する。 他の長期マセラシオンワインにある酸化のニュアンスは全く無い。

醸造責任者ジュリオ
30年以上ラ・ストッパで働くジュリオ・アルマーニ。 元々農学博士で栽培担当だったが今では複数のカンティーナの醸造の助言をするエミリア・ロマーニャでは有名な醸造家。 ラ・ストッパの醸造責任者として働きながら自らのカンティーナ「デナーヴォロ」を立ち上げた。 ラ・ストッパが赤主体なのでデナーヴォロでは白ワインを造っている。 同様に自然をリスペクトしているワイン造りだが、 ラ・ストッパではできないチャレンジをしている。 『ラ・ストッパは毎年高いレベルが求められる。 デナーヴォロはリラックスして造るだけ』

エミリア・ロマーニャは熟成する!
この地域のワインのポテンシャルの高さを 世界に伝えることがエレナのやりたい事。 その為にできる限り長く熟成期間をとり、 飲み頃になってから出荷する。 ヴィンテージによるが、マッキオーナは大樽で2年。 その後ボトル内で2年から5年熟成。 時には10年以上熟成させてから出荷する。 『エミリアのワインと言うと早飲みで安いワインという イメージを持つソムリエが未だに沢山いる。 エミリアのポテンシャルを証明したい』/エレナ 特にイタリア国内ではこの地域のワインの評価は低く、 高級レストランではほとんど見かけない。 試飲すれば解る筈なのに。

セラーを見ると
まるでフランチャコルタの熟成庫のよう。 最初の飲み頃を迎えるまで寝かされる。 彼等のワインはバローロと同じくらいにマセラシオンが長い。 タンニンも強く、アルコール度数も高め。 よって熟成する。 何度かの移し替えと樽熟成の後、 醸造所地下のセラーに積み上げられ瓶熟。 熟成期間が長ければ長いほどキャッシュフローが悪く、経営は難しい。 でも、エレナはこの地域のワインのポテンシャルを証明する為に熟成させる。 セラーには同規模の造り手のおよそ5倍。 30,000本以上が眠っている。
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