その中でも我々が感動したのは、ピュズラやクリスチャン・ショサールが一世 を風靡したロワールの黄金期ともいえる「柔らかい酸を残しつつ凝縮した果 実の熟感」が表現されたワインの登場に皆が魅了されたあの頃にタイムスリップした気分になる白ワインに出会ったのです。その名はclos de les soleres。
地中海に面したバルセロナ空港から北東へ50km、ペネデス地区Piera村 に17世紀から家族が代々所有する土地 Ferrer de la Vall があります。 ここPiera村にフィロキセラの被害が拡がったのが1888年。経済的問題や働き手の不足により大部分の畑が放置されてしまいました。それから1970年代から80年代頃まで生産量は徐々に減少し続け、カヴァ生産者たちがすべてのブドウを買い占めるようになりました。
それから数十年が経過しました。 現当主カルレス・モーラ・フェレールは現状を危惧し、大学で栽培醸造学を学んだ後、2000年に放置されたままの土地にブドウ樹を植えることにしました。2008年にはclos de les soleresのカベルネソーヴィニョンで初ヴィンテージとなる赤ワインが誕生しました。家族の伝統を受け継ぎ、ブドウを育て、収穫、醸造するという昔ながらのワイン造りを復活させたのです。