ジュヴレ・シャンベルタン・レ・ジュヌヴリエール・クヴェヴリ 2021 / フレデリック・コサール
( Gevrey Chambertin Les Genevrieres Qvevris / Frederic Cossard ) 8973
商品コード:
nomal
フランス、ブルゴーニュ、サン・ロマン
品種: ピノノワール
赤ワイン
樹齢: 44年平均
土壌: 小石混じりの粘土質・石灰質
マセラシオン: セミマセラシオンカルボニック、木桶タンクで21日間
醗酵: 自然酵母で2ヶ月
熟成: クヴェヴリ10hLで12ヶ月、ステンレスタンクで3ヶ月
色合いは透明感のある明るいルビー色。
フランボワーズ、バラ、シャクヤク、青竹の香り。
ワインは官能的かつ艶やかでみずみずしく上品な果実味にフィネスがあ
り、キュートな酸、チョーキーなミネラル、キメの細かいタンニンが融合しきれいに骨格をまとめる!
収穫日は2021年9月21日。収量は30hL/ha!
Les Genevrièresというキュベ名は現在は地図上ではレニアール(Reniard)に統合されているが、例外的に昔から畑を所有する者は今でも昔の
レ・ジュヌヴリエールを明記できるそうだ!ミネラルを最大限に引き出すために発酵熟成はジョージアから特注したクヴェヴリを使用!
≪2021年の特徴≫
2021年は、ブドウが晩熟で、春の遅霜と病気の蔓延、雹の被害の三重苦に見舞われたとても厳しい年だった。
かのロマネ・コンティが「過去5 年間の中で一番収量の少ないミレジムだった」と言うように、特に、プルミエ・クリュ、グラン・クリュクラスの集まるコート・ドールの丘の中腹が霜の影響で収量を大幅に落とした。
その後も、雨の多い不安定な天候によるミルデュー、オイディオムの猛威、冷夏、そして極めつけは8月末にサン・ロマン周辺を襲った雹など、ブドウ栽培は全てのレベルにおいて混沌としていた。
近年の中では、2012が最も不作の年だが、更なる減収だった。
9月に入っても雨天が続いたが、徐々に回復し、幸運にも収穫日はほぼ全ての日程が好天に恵まれた。
ただ、霜や病害の被害を受けたため、ブドウは厳格な選果が必要だった。
ブドウの品質においては、白赤共に酸が多く、また収穫を待つことができたおかげでフェノールもしっかりと熟した。
雨の多かった2013年にも通じるが、日照量が少なかった影響もあり、ブドウは酸化にとても敏感だった。
そのため、熟成の際のタンクの密閉には細心の注意を払った。
ワインの特徴について、2020年が太陽からのエネルギーを受けたボリューム豊かなワインだったのに対し、2021年は、大地からのエネルギーを受けた涼しい酸とミネラルが豊富なワインに仕上がっている。
フレッド自身、2021年を「アルコール度数が低くエレガントで酸のある、かつての良きブルゴーニュを想起させる」と評し、白は、涼しい年の「2012年、2013年」、そして赤は「2012年、2016年」を彷彿させると語る。
共通点は、いずれもブドウが楽に育った年ではなく、厳しい気候に対峙しそれを乗り越えた、生産者にとってとても思い入れの深い年、まさに「生産者の記憶に残る年」と言えよう。
ネゴシアン赤
2021年は、4月初旬に4度冬のような夜霜が降り、季節外れの大雪にも見舞われた。
ブルゴーニュの各村々が総力で夜中にロウソクの火を灯し、その幻想的な光景が世界にニュースとして配信された。霜の特徴としては、普段は滅多に被害に遭わないコート・ドールのプルミエ・クリュ、グラン・クリュクラスが集まる丘の中腹の被害が大きかった。
逆に、今回フレッドの買いブドウである、モレ・サン・ドニ レ・シャン・ド・ラ・ヴィーニュ、ジュヴレ・シャンベルタン レ・ジュヌヴリエール、シャンボール・ミュジニー・レ・ゼルビュなどは、畑が丘のすそ野にあり、中腹に比べて相対的に被害は少なかった。
7月にはニュイ・サン・ジョルジュー帯を大規模な雹が襲い、レ・ダモードは9割近くの損傷を受けたため仕込みをあきらめざるを得なかった。
ブドウは、春の遅霜と病気の蔓延により30%~50%減。
蓋を開けてみると、この年はボーヌよりもニュイの収量が多かった。
終盤は好天に恵まれ、アルコール度数の低いままフェノールが完熟し、久々にブルゴーニュらしい酸のあるみずみずしいブドウを収穫することができた。
醸造は、総じて酵母の働きが良く、発酵がスムーズだった。
この年は、太陽に恵まれたアントシアニン豊富なブドウと違い、ブドウ自体がスレンダーだったため、マセラシオンは梗のえぐみが出ないように優しい抽出を心掛けた。一方で、優しい抽出を心掛け清澄にも時間をかけたにもかかわらず、ブドウに含むタンパク質の量が多かったためか、澱が落ちきれず、多少の濁りが残った。
また、この年から新しく、クヴェヴリや卵型タンクに入り切らないワインは、蛇口と蓋の付いた4hLのカブ型の炻器(ジャー)の使用を試みた。
出来上がったワインは、フレッドが「かつての良きブルゴーニュを想起させる」と言うように、どのキュヴェも果実味が艶やかで色気があり、まさに
「キュート」という言葉がふさわしい酸の妙味を感じる官能的な味わいに仕上がっている。
その中でも特に象徴的なのはヴォーヌ・ロマネ。
フレッドのネゴシアン赤の中では畑が一番グラン・クリュに近く、近年では太陽のエネルギーを受けた力強いワインの代名詞でもあるが、2021年は
久々に冷夏で雨が多く、エネルギーはむしろ大地の方の比重が高かった。
「昔のヴォーヌ・ロマネを彷彿させるワイン」は優雅そのもので、まさに2021年のネゴシアン赤に共通する、涼しくエレガントなスタイルを象徴する味わいに仕上がっている。
シャソルネイ フレデリック・コサール
Chassorney Frederic Cossard
現オーナーであるフレデリック・コサールが自らドメーヌ・ド・シャソルネイを立ち上げたのは1996年。
当時、ワインとは無縁の酪農の家系で育ったフレデリックは、厳格な父親の影響の下、家業を継ぐために ENIL(国立乳産業学校)で乳醗酵を学ぶ。
学校を卒業後、父親の命令で、ボストン近郊にある乳製品会社Bongrainに 2年間の研修予定で無理やりアメリカに旅立つも3週間でフェードアウト。
その後、家業を継がないことを決めた彼は、父の下を離れ以前から興味のあったワインの世界に裸一貫で飛び込む。
その時、23歳だった彼は、ボーヌとサヴォワの醸造学校でワインを学び、最小限の投資でクルティエの仕事を始める。
何も伝のない中、紙と鉛筆と電話と車だけで片っ端からブルゴーニュのドメーヌの門を叩き、粘り強くワインの交渉に当たり次第に顧客の信用を勝ち得るようになる。
途中、ニュイ・サン・ジョルジュのネゴシアンでワインのブレンドを担当しながら10年間クルティエ業を勤める。
その間、「ブルゴーニュのワインは全て飲み尽くした」という彼は、自らの理想のワインをつくるために、ドメーヌ立ち上げを決意する。
1996年、彼は義理母(当時)と一緒に念願のドメーヌを立ち上げる。
2005年、新たにワイン醸造所を建設し、その翌年にネゴシアン・フレデリック・コサールをスタートし現在に至る。
現在、フレデリックは10haの畑を5人で管理している。( 繁忙期は季節労働者が数人手伝う。)
彼の所有するブドウ品種は、ピノノワール、シャルドネ、アリゴテで、樹齢は若いもので8年。
平均樹齢が50年で、古樹になると樹齢が80年に達する。彼の提唱するVin Vivant (活きているワイン)をいつかグランクリュで表現することを目標にしながら日々探究に絶えないフレデリック。
2000年から畑のプレパラシオンに病気の耐性を強化するホメオパシーを取り入れ、ブドウの活性化を図る。
醸造面でも、粒単位での選果、SO2無添加、ノンフィルター、徹底した温度管理、地中カーヴの増設など、大胆でありながら繊細にして努力家の彼は、良い品質のワインをつくるために支払う代償は全く惜しまない。