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モスカート・リエート・リゼルヴァ 2020 / カッシーナ・リエート 
( Moscato LR / Cascina Lieto ) 8939

  • 新商品
¥15,180 税込
商品コード: nomal
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産地: ピエモンテーク、ネオーカスティリオーネ 、ティネッラ
品種: モスカート
白ワイン
樹齢: 56年
アルコール: 15.5%

収穫後、除梗し果皮と共に1カ月、醗酵が終わるのを待つ。
圧搾後、タンク内で24カ月の熟成。ボトル詰めののち約12か月の熟成。
リエートの高樹齢の畑、9月下旬に収穫したモスカート。腐敗果を粒単位ですべて手作業で落としながら収穫、貴腐化したブドウが全体の30%に及ぶ。
収穫量は例年の約半分となったが、今までに経験したことがない熟成を遂げたモスカート。
通常のリエートではなく、リゼルヴァとしてリリース。
自らが出会い、愛する造り手達へのオマージュともいえるワイン。

ワイナリー名を冠したモスカート「Lieto リエート」。
2020年はその名ではリリースされず「LR」、言い換えるならば「リエートのリゼルヴァ」という意味合いの名でリリースされました。
樹齢56年という高樹齢のブドウ樹より造られる、完全醗酵のモスカート。
収穫に当たり、ブドウの完熟を追求。
周囲の生産者や糖度計などに左右されることなく、樹上にて完熟を待ち、種子の完熟を見極めてから収穫。
果皮と共に醗酵を終え、果皮や種子の持つ要素をすべて引き出すというコンセプトのリエート。
2020年は1年を通して雨の多かったヴィンテージ。
夏前に続いた長雨、そして 8~9月と気温差はあったものの、雨の影響で白ブドウを中心に腐敗果が多く出始めたといいます。
しかし、はたから見ればその惨憺たる光景は、ダミアンの畑で見るボトリティス ノービレ(貴腐菌)が回った光景そのもの。
収穫まで欠かさず毎日すべての房を目視し、腐敗、酢酸化した果実を粒単位で取り除く作業を2週間近く続け、成熟に耐えたブドウだけを収穫したという、想像を超えるこだわりよう。
最終的な収穫量は2019年の半分にも満たなかったといいます。
しかし、貴腐が回ったブドウの割合は全体の約30%程度。
収穫量が激減したこともあり、ブドウ自体が非常に凝縮した状態だったといいます。
醸造については基本変わらないものの、樽での熟成を長くとり24カ月、ボトル詰めしてから12か月費やしてリリース。
昨年のリエートと比べるまでもなく、コルクを抜いた瞬間に「全く別のワイン」、と瞬間に感じられるほど異なった印象。
液体の濃度の高さはもちろんですが、果皮・種子の強い印象、そして力強いタンニン、モスカートの象徴ともいえるヴォリュームとアロマは、遠く背景にまで追いやられているような重厚さと複雑さ。
モスカートというブドウで、これほどの存在感を感じたことは今まであっただろうか?と言っても過言ではないくらいの存在感。
現時点でも心底驚かされるサイズ、奥行きのあるワインに間違いないですが、本音を言えばまだこれからビンの中でさらに成長していくように感じました!

カッシーナ・リエート
Cascina Lieto


ワイナリーの当主は、日本人である佐々木 ヒロトさんと理恵さん。1997年よりイタリアに移住した彼は、ファッションや芸術だけでなく、特に歴史や伝統を重んじる心や食文化に魅了され、この土地で暮らす事を決意。イタリア生活の中で、素晴らしいワインの造り手たちとの出会いをきっかけに、これまで20年以上に渡り、イタリアと日本をつなぐ懸け橋として活動してきました。彼が愛してきたものはイタリアの食であり伝統に結び付くワイン。しかし、それ以上に彼が尊重してきたもの、造り手達の「情熱や魂」でした。目に見えるものだけではなく、強い想いや揺るぎない意志をもった素晴らしい造り手達。彼らとの出会いこそが、彼の原動力であったといえます。
私自身、エヴィーノを始めたきっかけでもあるダミアンや、レ・コステのジャンマルコとの出会い、そこに彼の存在を欠かすことはできません。当時、まだ何も知らなかった私に、数えきれないほどの知識や、得難い経験を。そして共に長い時間を過ごし、多様で鮮烈な素晴らしい出会いに恵まれました。彼とダミアンから学んだ(ケンカした)事は数えきれず、、(笑)。この2人は私にとって、まるで年の離れた兄のような、かけがえのない存在です。
この土地に根付き、イタリアに生きる日本人として、イタリア文化を伝えてきた彼。そしてワイン生産者との出会いにより、畑からカンティーナ、そして共に過ごす食事まですべて、ワイン造りへの憧れは募ってゆきました。そして、これまで自身が出会い愛してきた造り手たちと、変わらない想いで畑に立ちワインを造る、新たな道に進む事を決意。

2017年、世界遺産でもあるイタリア北西部、ピエモンテ州ランゲ地方カスティリオーネ ティネッラと、その近くに合わせて0.8haのブドウ畑を手に入れます。ワイナリーの名前は「Lieto リエート」、幸せや喜びを意味し、共にワイン造りを行う奥様の名前も重ねた名。ピエモンテ州ランゲ地方での暮らし、そしてワイン造りは、ヒロトさんと理恵さん2人の想い描いてきた夢が実現し、新しい始まりともいえる瞬間でした。

カスティリオーネ ティネッラは、DOCでいう「Moscato d‘Aastiモスカート ダスティ」になるエリアという事もあり、畑には高樹齢のモスカート、コルテーゼが残る希少な畑。中でもカスティリオーネ ティネッラの畑では、1960年代に植えられた樹も多く残り、収穫するモスカートの中心。1haあたり4000~4500本、グイヨーにて仕立てられたモスカートの畑。手に入れる前からも、大事に栽培されてきたことを実感できる土地の状態の良さ。そして何より50年を越えてもなお、樹勢があることに驚かされます。

栽培は、彼がこれまで造り手達から学んだ事を生かしながら、土地に負担をかけない栽培方法を実践。中でも彼のワイン造りの「根幹」ともいえる、ダミアンの影響がとても強いことを明確に感じます。ブドウの完熟に対する「種子」の大切さ、そして収穫まで十分な時間を費やし、糖度計や果実ではなく、種子の完熟を意識したブドウ栽培。土地の自然環境の回復を待つため、2017は収穫を見送りました。翌2018年より、実験的な醸造として極僅かながら収穫。まず、最も尊重すべきは、ブドウ畑の地力の復活であり、周辺の生物的な環境の重要性。本格的な収穫・醸造は2019年の収穫からとなります。

モスカート ダスティといえば、甘口の微発泡として世界中で親しまれています。しかし、残糖を残したまま、発泡性ワインをボトル詰めするには、通常のワインを遥かに越えた添加物、そして人為的なコントロールが必要なことも事実。リエートが造るものは、甘口のモスカートダスティではなく、完全に醗酵が終わった残糖のないモスカート。液体として完成(バランスの取れた)したワインの醸造を目指しています比較的収穫時期が早く、糖度の上がりやすいモスカート、樹上にて完熟を待ってから収穫。周囲のモスカート生産者より、2~3週間遅れた収穫は、周囲から見ればすでに異様に思われて当然。すでに異質な視線を浴びているという話も。しかし裏を返せば、「完熟し、糖度の高まったモスカートは、決して《軽い早飲み》ではなく、強い香りとアロマの奥に素晴らしい骨格や繊細さ、可能性を秘めている。」そう語る彼。

醸造については、種子まで完熟したブドウを、果皮と共に醗酵を行います。マセレーションの期間については、特に定めているわけではなく、アルコール醗酵が終わること。そして、液面に形成されている果帽の勢いが収まり、沈み始めるまで。アルコール醗酵が終わるのを、待ってからの圧搾を意識しています。圧搾後、そのまま24カ月の熟成期間を取ったのちボトル詰め、6カ月以上の熟成期間を取ってからリリース。醗酵途中の「無防備な」ワインを守る“ゆりかご”としての、果皮・種子の存在の重要性。そしてワインは樽の中でフォルム(全体像)が形成され、瓶の中でディティール(細部)が造られるという考え。その考えは、ダミアンから学び、ジャンマルコから感じた事をそのまま行っている。同じ体験をしてきた私にとっても、強く共感できる徹底したワイン観をもっています。

収穫までに十分成熟を待ち、そして醸造から熟成、リリースまで時間を費やすことを怠らない成熟したワイン観とモノ造りの意志。本人曰く「彼ら(ダミアンやジャンマルコ)に飲ませても、恥ずかしくないワインを造らないとね。中途半端なことをしていたら怒られちゃうから、、、。」そう笑う彼には、心からの愉しみと妥協しないモノ造りの意志を感じます。まだ始まったばかりというか、、、むしろこれから始まる生まれたばかりのリエート。ヒロトさんと理恵さん2人の夢とその未来を、これからも見守っていきたい、愉しみな造り手の一人です。

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