VdF ママ・ムシ・ルージュ 2021 / ドメーヌ・ル・ブリゾー
( Mama Mouchi rouge / Domaine Le Briseau ) 8736
商品コード:
nomal
フランス、ロワール
品種: ピノ・ドニス
赤ワイン
樹齢: 10年~12年
土壌: シレックス混じりの粘土質・石灰質
マセラシオン: スミマセラシオンカルボニック、ステンレスタンクで3週間
醗酵: 自然酵母で3週間
熟成: ステンレスタンクで12ヶ月
クリスチャンが亡くなる直前にモルティエの区画に植えたピノドニスだけを使って仕込んだ新しいキュヴェ!
今までは天候に恵まれずほとんど収量が取れなかったので全てパタポンにアッサンブラージュされていた。
だが、樹齢10年を超えた今やっと収量が見込めるようになり、今回新しく仕込むに至った。
キュヴェ名は、元スイスの舞台女優だったナタリーが一番好きな17世紀の劇作家モリエールの劇作「町人貴族Le bourgeois entilhomme」の話に出てくる似非トルコ王子 Mama Mouchi(ママ・ムシ)から取っている。
町人貴族とは、身分の低い男が貴族の娘と結婚するために、権威あるものが大好きな娘の親を騙してママ・ムシという架空の似非トルコ王子に扮する喜劇で、ナタリー曰く、ママ・ムシのピノドニスはパタポンよりも上のクラスのモルティエの区画だが、樹齢が10年前後と若いため、真のモルティエとは言えない「まだモルティエに成り切れていない un arriveste(若造・成り上がり者)」という感じが、劇作のトルコ王子ママ・ムシのキャラクターと重なり、このような名前を付けたそうだ。
エチケットのデザインは、劇に出てくる羊の毛皮のマントを羽織り、猫をいつもひざ元に置いて演じたママ・ムシから連想し、トルコの冠をかぶる羊とその上に猫ではなくネズミという組み合わせで、可愛らしいキャラクターに仕立てた。
出来上がったワインは、若木らしい酸味のあるピュアでチャーミングな味わいに仕上がっている!
パタポンもチャーミングだがママ・ムシの方がより果実のみずみずしさがはっきりと出ていて、それでいてきちんとモルティエの片鱗を感じさせる滋味豊かなミネラル感があり、ナタリーがユーモアをもって自嘲気味に喩えるまさに un arriviste(若造・成り上がり者)感満載な薄ウマワインだ!
色合いは透明感のあるルビー。
フランボワーズ、赤味噌、海藻、鉱石の香り。
ワインはピュアかつ明るくフレッシュでジューシーな果実味があり、じわっと広がるキュートな酸と鉱物的でほんのりビターなミネラルがアフターを引き締める!
収穫日は10月24日。収量は40hL/ha。
ブリゾー赤のトップテロワールであるモルティエの区画にクリスチャンが生前最後に植えたピノドニスだけで仕込んだ!
ワイン名は元舞台女優のナタリーが一番好きなモリエールの劇作「町人貴族 Lebourgeois gentilhomme」に出てくる似非トルコ王子 Mama Mouchi(ママ・ムシ)から取っている!
SO2は瓶詰め時に20 mg/L添加。軽くフィルターあり。
ドメーヌ・ル・ブリゾー
Domaine Le Briseau
ロワール地方は、トゥール市からナント市に向かうちょうどあいだの町シャトー・デュ・ロワールの手前を、東に5kmほど、川に沿った農道を通り過ぎると、クリスチャン・ショサールとナタリー・ゴビシェールのドメーヌがあるマルソン村に着く。彼らの畑は総面積9haで、ドメーヌのまわり半径5km以内に複数点在し、大半が小高い丘の南向きの斜面に面している。畑の土壌は、表面が主に粘土質と顆粒状のシレックスに覆われ、その土壌の下の部分(0.5m~1.8m)は石灰質、さらにその下はPerronsまたはPangeeと呼ばれる大昔まだ地球の大陸がひとつだった時(パンゲア大陸)の原岩盤が存在し、三層に折り重なっている。気候は穏やかで夏は暖かく、秋から冬春にかけてはロワール川(支流)と地上の温暖差で朝夕はしばしば深い霧に覆われ、その霧がブドウの貴腐化などの環境条件に影響を与える。
現オーナーであるクリスチャン・ショサールが本格的にワインづくりを始めたのは1988年、ヴヴレーで7haの畑を借りた時からだ。以前は高速道路の橋など国の公共事業を請負う企業で働いていたそうだ。彼はワインをつくる夢を捨てきれず1986年、当時32歳の時に仕事を辞めてボルドーの醸造学校でワインの勉強をし始める。初めからナチュラルなワイン、というよりもむしろ昔ながらの手作りのワインをつくると決めていた彼は、持ち前のセンスの良さを生かして、初っ端からSO2ゼロ添加で質の高いセンセーショナルなワインをつくりだす。その後ヴィニュロンの仕事と、一方でアンボワーズにある醸造学校の講師を掛け持ちながら1999年までヴヴレーでワインづくりを続ける。(ティエリ・ピュズラがクリスチャンに習ったことは周知の通り)その後、ある事情からヴヴレーのワイナリーを引き払い、2001年まで アメリカのオレゴン等各地を放浪する。2001年にジュネーブの試飲会で現在の妻ナタリーと知りあってから再びワインづくり再開を決意する。2002年ジャニエールにドメーヌ・ル・ブリゾーを立ち上げ、そして2006年にはナタリーの愛称をから取ったナナ(ヴァン・エ・カンパニー)というネゴシアンも立ち上げ現在に至る。
現在、クリスチャンは9haのドメーヌの畑と醸造+ネゴスワインの醸造の4人で管理している。(繁忙期は季節労働者が数人手伝う。)彼の所有するブドウ品種は、シュナン、シャルドネ、ピノドニス、ガメイ、コーで、樹齢は8~40年。ブドウ栽培のベースはビオロジックだが、2006年からドメーヌの畑全てをビオディナミ農法に変えて、さらなるワインの質とテロワールの表現に磨きをかける。醸造も「よりナチュラルに」をモットーに、テクニックはほとんど使わない。そのかわり収穫期間や醸造、熟成期間等の醸造工程には細心の注意をはらい「ここぞ!」というタイミングを逃さぬよう神経を集中させる。
残念ながら2012年にクリスチャンが亡くなり、その後を妻であるナタリー・ゴビシェールが引き継ぎ現在に至る。