ルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェッラート 2020 / ラ・カッシネッタ
( Ruche di Castagnole Monferrato / La Cascinetta ) 8472
商品コード:
nomal
イタリア、ピエモンテ DOCG
品種: ルケ 100%
樹齢: 11年
赤ワイン
アルコール度: 15.5%
収穫後、果皮と共に約2週間の醗酵。
圧搾後、ステンレスタンクに移し、酸欠状態にならないようこまめにオリ引きを行いながら12か月の熟成。
想像以上に収量を抑え、ブドウが完熟するまで収穫を遅らせたルケは、強烈な糖度の高さと芳醇すぎる香りを身にまとう。
2020年は日照に恵まれ完熟しただけでなく、醗酵時にやや高い温度にて醗酵したヴィンテージ。
他のヴィンテージには感じ得ない素晴らしすぎる香りと存在感のある魅力的な赤。
2020 は猛暑のヴィンテージ。
畑では水不足のため、過度な凝縮が起きた年。
土壌環境や気候の影響を受けやすいルケ。
2020年は猛暑という事もあり、非常に香りが強い、そして醗酵中の温度もやや高い位置で推移していたと話すジャンカルロ。
彼自身「こんな香りを放つルケは初めて」、そう言うほど衝撃的な香りと味わいを見せた驚きのヴィンテージ。
今年3月に初めて訪問した際、2020年のルケを飲んで驚愕したことをはっきりと覚えています。
「Ruche ルケ」という、地域的にもマイナーな黒ブドウではありますが、おそらく一般的な赤ワインの概念やイメージを吹き飛ばすような、素晴らしいワインだと信じています。
ラ・カシネッタ
La Cascinetta
アスティの北東に位置するカスタニョーレ モンフェッラートの町。
この土地に残る地品種である黒ブドウ「Ruche ルケ」、DOCGを取ったことで一時期話題を集めましたが、生産地域は小さく、ルケを栽培・醸造している造り手は極僅か、希少なエリアでもあります。
当主であるジャンカルロ ボルトリンはトリノ近郊で生まれ育ちました。都会での暮らしよりも、自然の残る
環境、農業を営み暮らしてゆくことを夢見た彼は、2007年のヴィアリージの土地、放棄されていた小さな家と3ha のブドウ畑を手に入れました。
2009 年にルケ、バルベーラ、グリニョリーノを植樹、2013年より徐々にワイン造りを始めました。
農業やワイン造りは素人だったジャンカルロ、「自分たちが暮らし、作り、食べる。土地に根付いた暮らしをしたい」、という強い想いがあり、畑では一切の薬品や化学肥料を使用せず。
ブドウ畑で唯一、銅と硫黄物を最低限使用する農業を続けてきました。
醸造については当初、全くの素人だったこともあり、近所の生産者にエノロゴとして手伝ってもらっていたというジャンカルロ。
しかし、酵母添加や温度コントロール、現代の醸造技術で造られた自分のワインに「(自分で育てた)ブドウの味がしなかった」と、感じた彼はエノロゴの反対を押し切り、2015年より独学をベースに一切のコントロールをしない醸造方法に切り替え始めました。
約3haのうち、2haを占めるルケ。
土壌はカスタニョーレ周辺に多く見られる石灰質、粘土質、砂質が混ざり合い場所により、マーブル上に土の色が分かれた緩やかな丘陵地。
標高は250m、近年の温暖化、猛暑の影響を受けにくく、北東向きの斜面を好んで植えられたブドウ樹。
畑ではクローバーやマメ科の植物の種をまき、緑肥としている以外加えるものはなく、銅と硫黄についても極僅か、最低限しか使用しないこだわり。
そして何より最も特出すべきは、ブドウの収穫量の少なさ、そして完熟まで待ち続ける強い忍耐と意志。
DOCGで認められている9t/ha に対し、彼の収穫量は3.5~4t/haという少なさ。
そして果皮、種子まで完全に成熟するまで収穫を遅らせる徹底的な覚悟。
結果的に、超熟成したルケは、糖度が高すぎて潜在アルコール度数が15%を軽く超えるほど。
この超凝縮したルケは果皮と共に約2週間、緩やかに醗酵が進み、これほどの糖度、アルコールであっても、今まで醗酵が途中で止まった経験はほとんどないと話すジャンカルロ。
「収穫したブドウからは、完熟したブドウの香りの他に、強い酵母の香りがあふれてる」、という話に、ブドウの質の高さが想像できてしまいます。
非常に香りに特徴を持つルケ、その特徴を美しく表現する為に醗酵が終わった後、オリの状態を敏感に見極め、こまめにオリ引きを行う彼。
その回数の多さに、むしろ酸化のリスクを心配してしまいますが、「嫌気的な環境よりも活発な酵母、健全なアルコール、整った環境があれば、酸化を恐れる理由が俺にはわからない」と、一蹴されてしまいました。
カッシネッタのワインを支えているのは、経験値でも醸造テクニックでもない、溢れんばかりの素材(ブドウ)への信頼感。
久しぶりに出会う、裏表のない情熱と強い意志を持ったジャンカルロ。
ワインとしてはまだ粗削りな面も多いですが、それを補って余りある素晴らしい味わいと魅力的なルケ。
ぜひ一度お試しいただきたい造り手です!